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たまにはさ、こんなくだらない時間って 必要だと思うだろ?
Boys Talk
「なあ、初めてって 何歳の時だった?」
目の前に座るギップルの唐突な質問に、ティーダは飲みかけていた酒を逆流させて派手にむせた。
涙目のまま向かいに座る悪友を睨みつけ、むせながらも抗議の声をあげる。「何ッスか、いきなり」
「いやぁ、酒も入ったことだし そろそろいいかな~と」
悪びれもせずにそう言うギップルに、ティーダは盛大にため息をつく。
この男は、いつもそうなのだ。
突然人のことをジョゼまで呼び出しては、こんなどうしようもない質問を投げかけてくる。
『疑問があればすぐに解決したい』
『興味がわいたら、即行動』そんな、アルベド族の典型のようなこの男の、目下の興味の対象が『自分』であるらしいということは想像に難くない。
いたるところに弄りかけのマキナが転がる雑然としたギップルの部屋で、久しぶりに顔を合わせたという事もあり、勧められるままに酒を飲んだのだがまさかこういう展開が待っていようとは夢にも思わなかったのだ。ユウナがここに居ないということだけが、せめてもの救いというところだろう。
「そっちこそ」
ティーダは憮然とした表情でテーブルの上に置かれている酒瓶へ手を伸ばすと、空になった自分のグラスへ中の液体を注ぐ。
「俺?14歳の時。しかも年上」
しれっと言うと、ギップルは手にしたグラスの酒をぐい、と飲み干して にやりと笑う。
どうせ、男2人しかいないのだ、と 小さくため息をついたティーダは諦めたようにぽつりと答えた。「・・・同じ。14の時かな・・・」
「年上?」
「・・・忘れましたっ!・・・・・・・言わなくてもわかってるだろうけど、この事ユウナにバラしたら、ここにあるマキナ全部潰してやるからな」
酒を片手に凄んでそう言う『伝説のガード』に、ギップルはとうとう堪えきれずに思い切り吹き出し、そこかしこをバシバシと叩きながら大笑いをしだした。
「だからっ、どうしてそんな事聞くわけ?」
「な、なんとなく!」
「なんとなくって!」
「そ、『男同士の会話』ってやつよ!」
ティーダはもうだいぶ、この男の投げてくる変化球に慣れてしまっていることに内心苦笑する。
こちらにはわけがわからないような事でも、ギップルなりのスジがあったりするのだ。
果てしなく呆れもするけれど、よくよく考えてみても こんなくだらない会話が出来るような同世代の友人は居なかったな、と改めて確認すると、目の前で陽気に笑う変わり者に親近感さえ沸いてくるのだ。「そんなにユウナ様が怖いかねぇ?」
肩を竦めてそう言うギップルから酒瓶を奪い取ると、ティーダは思い切り顰め面をしてみせる。
「もう終わっちゃってることで嫌な思いはさせたくないっつーの。・・・お前、酔ってるだろ・・・」
「浮気とか考えない?他の女に『お』とか思ったりしねぇの?」
「考えないし、思ったりもし・ま・せ・ん!」
そこで顔をつき合せた2人が、同時に吹き出して大笑い。
「だいぶ!遊んでただろ!!」
息も切れ切れにこちらを指差して指摘するギップルに、ティーダも手近にあったクッションを投げつけて応戦する。
「自分こそ!いまだに遊んでるだろ!!」
かたや『伝説のガード』で『ブリッツ界のスター』と、かたや『実力主義で統率力があるマキナ派のリーダー』が、こんな会話を繰り広げているなどとは、スピラ中の誰も知ることが出来ないささやかな時間。
「オレは!ユウナが最後なの!!お前こそっ!さっさと決着つけろ!」
ティーダに軽く小突かれたギップルが、大げさなアクションと共にバッタリと倒れたのを見て、またも大笑いをしてしまった2人が別れたのは、月もだいぶ高くなってからのことだった。
FIN
ご好評の(?)ギップル×ティーダです。(笑)
この2人は私の中ではだいぶ仲良しさんです!!(爆笑)
なので、くだらない「年相応」の時間を書いてみました。
おもしろいです、奴ら。(笑)