お気に入りのソファーでお日様に見守られながらウトウト昼寝。

 ザナルカンドで生活してたあの日々に、こんな時間ってあったかな?って少しだけ回顧した。

 

 

 

 いつも隣で 

 

 

 

 やっぱり、あっつい。

 吸い込まれてしまいそうな青空を見上げてまず思ったのはそんな事。

 あおーい、あおーい空にまーっしろな雲とその存在は絵本の中だけだと信じて疑わなかった綺麗な海。
 そんな世界はオレの中にはなかったはずなのに、昔から知ってるようで少し可笑しかった。

 もしかして親父?

 ありったけのスピラの記憶をオレにくれた?

 鼻をくすぐる潮風に閉じていた瞳をゆっくり開けると、窓枠いっぱいに広がる青空に自然に笑顔になるのは今が幸せなんだって証拠なのかもしれないってつくづく思う。

 還る場所があるって凄い。

 便利で騒がしい機械仕掛けの街ではなくて、この、あっついあっつい南国の島がオレのおうちになってるんだよな。

 『そこで寝てたら日に焼けちゃうよ?』

 思いがけず脳裏に浮かんだ『おうち』って単語が酷く子供っぽくて苦笑したら、ソファーよりも、南国のこの地よりも愛しい人の涼やかな声がして。

 「いまさらッスよ。見てよ、オレのこの肌の色。ワッカ激しすぎなんだよ」

 「また焼けたよね、キミ」

 朝干したら午前中のうちには乾いてしまう洗濯物を抱えて笑うユウナ。
 『手伝うのに』って何度も言ったけど、自分の仕事がなくなるからダメだっていっつも怒られるんだ。

 

 一緒に起きて

 一緒にメシ喰って

 一緒に笑って

 一緒に寝る

 

 「ユウナ、幸せ?」

 『答えなんかわかってるくせに』って文句を言われたって聞きたい瞬間がたくさんある。

 「幸せっすよ?キミは?」

 ユウナは小さく笑いながらテーブルの上に山積みになっている洗濯物を一枚一枚丁寧にたたんでるけど、オレの方を見てくれないのはこんな質問には慣れっこですっていう意思表示。

 

 

 今、見つめてる彼女の背中を追い越したと思えたのはたったの一度きり。

 追い越したって言うのは凄まじく語弊があるな、と痛いくらいに思うけど。

 

 

 「ユウナ〜?」

 「なあに〜?」

 手を伸ばせばすぐそこにある、愛しい君。

 「おしり触ってもいい?」

 唐突とも言えるお願いをいとも簡単に言の葉に乗せる。

 ほら、ほらね。

 ・・・固まった。

 「・・・おっ・・・!おしりって!!もう!えっち!!」

 「だ〜〜〜って、目の前でユウナのおしりが揺れてるから触りたくなったんスけど〜〜〜」

 耳まで真っ赤に染めちゃって。

 おしりどころか君の身体中でオレの知らないところなんてないっていうのに?

 「突然触ったら怒られるから」

 「断りを入れても怒りますっ」

 好きな娘をからかって、困らせて、自分でも子供っぽいなって思うけど。

 「ユウナ、こっち向いた」

 膨れた頬もたまらなく愛しいんだよって素直に言ったら信じてくれるかな?

 「お・・・っおしりとか言わなくても、呼んでくれたらキミの方、向くよ?」

 「や、おしり触りたいのは本当ッスから」

 

 あっついあっつい南の島。

 吸い込まれてしまいそうにあおーい空。

 真っ白な雲はくっきりと。

 そんな世界に囲まれて、今日もオレだけの『おうち』がすぐ傍で笑ってる。

fin

 

愛の巣箱15万打記念押し付け作品。(笑)当時はただただ「おしり触ってもいい?」ってティーダに言わせたかっただけでした。(爆笑)
設定はどちらかっていうとLM設定だと思います。

 

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