こんなにも、キミのこと愛してる。
最初で最後の恋
ねえ?
自分でも、こんなにキミの事が好きだなんて 信じられないよ。
『いなくなった人のことを、思い出してください』
私・・・『あの時』ルカでそう言ったの。
本当は、キミがいなくなっちゃうってわかった時から、私・・・『大召喚士』になんてなりたくなかった。
だけど・・・永遠のナギ節を手に入れて、スピラ中から祝福されて、ルカのスタジアムで演説して欲しいって言われて、正直とても辛かったんだ。だって、ルカのスタジアムは『キミとの思い出』でいっぱいだから・・・。
右を見ても、左を見ても、『キミ』だらけ・・・。
『本当のキミ』は、もう居ないのにね。
思い出して。
願い、祈って。
キミはスピラに存在していたんだと、私に思い知らせて・・・・。
私じゃない、他の誰かも、キミの事忘れないでいてくれたら その想いがきっと届いて『キミは夢なんかじゃなかったんだよ』って教えてあげられるかもしれない。
行かないで。
消えないで。
私・・・キミが居てくれなくちゃ前に進めないよ・・・?
「・・・・ウナ・・・!」
「ユウナ!」
「きゃあ?!」
力強い腕に抱き起こされて覚醒する。
エンジン音がかすかに聞こえる見慣れた天井。
部屋はまだ薄暗く、夜明けは遠いと理解する。視界の隅には夜目にも鮮やかな金の髪・・・・・・・。
「どおしたッスか?ユウナ、うなされてたけど・・・」
少し身を起こして心配そうに覗き込む青年。
「・・・・夢・・・・」
呟きは乾ききり、かすれる声に少し驚く。
胸はまだしくしくと痛み、ともすれば大声を上げて泣いてしまいたい衝動に駆られる。「怖い夢でも、見た?」
気遣わしげにユウナの頭を撫でながら優しく問いかける彼に、ユウナは思わずしがみついてその体温を確かめた。
「ティーダ・・・」
普段はなんとなく照れくさくて声に出せないでいる愛しい人の名前を呼ぶ。
「なに?」
胸の中へすっぽりと抱きこんで、栗色の髪に顔を埋め、満足そうなため息をつくティーダの心臓の音がユウナの耳に届く。
「夢じゃ、ないよ?」
「・・・なんスか?それ・・・」
訳がわからずに瞳をまんまるくしているティーダの顔を見て思わず笑み崩れる。
『心配してるっつーのに』などと ブツブツ言っている愛しい人に『あの時』の自分の想いなど、知らなくていいと 心から思う。
「怖かったけど、平気だよ?キミがいるから」
「ユウナ?」
「愛してるよ」
『好き』という言葉じゃ、伝わらないかな?
『愛してる』でも、足りない気がするの。
こんなにも『キミ』でいっぱいになってる私って、変かな?
変だよねえ。
だけど、それもちょっといいかなって 思ってるんだ。
だって、キミが私の最初で最後の・・・・・・。
そこまで思考を巡らし、愛しい人の鼓動の中ユウナはゆっくりと瞳を閉じて、優しい夜の気配へと意識を手放していった。
fin
これ、かなり初期作品です。(汗)