思い出すだけで、恥ずかしくてどうにかなりそう・・・。
darling
「ユウナ、ごめん。そこの服取ってくれる?」
ベッドの上で素肌にシーツを巻きつけだけの格好で座っているユウナへ、カーテンを開けに立ったティーダが窓辺に立ち振り返って言う。
朝日を浴びて黄金の髪がキラキラと輝いた。
シン討伐のために行動を共にしていたあの旅の間にも、同じように幾度となく朝日に輝くあの髪を見たというのに、今日のそれが一番眩しく見えるのはどうしてだろう、と心の中で密やかに思う。「こ、これ?」
自分が座っている横に脱ぎ捨てられてあった衣服を持ち上げ、ティーダへと手渡す。
「ありがと」
陽光にも負けないくらいに眩しい笑顔で服を受け取り、ゴソゴソと着替えだしたティーダの整った身体を見て、ユウナは昨夜の出来事を思い出して顔を赤らめた。
たとえ、彼と『そう』なりたかったとはいえ、昨日の自分はどうかしていたのかもしれない。2年以上も前になってしまった『あの時』、自分の目の前で空へと消えてしまった彼を、探して、探して、追い求めて、そして奇跡の果てに昨日、ようやく手に入れたのだ。
抱きしめた腕から伝わる温もりは夢ではないことを教えてくれてはいたけれど、それ以上に彼の存在を確かめたかった。
抱き合うくらいでは、足りなかった。
彼という存在で、自分をいっぱいにして欲しかった。
だから・・・・・・・・・。
「ユウナ?顔、赤いッスよ?熱でもある・・・」
「きゃあ!」
突然目の前に青の瞳が現れて、思わず飛び退いてしまった。
ティーダは明らかに様子のおかしいユウナが逃げ出さないようにベッドの端まで追い詰めると、さらに覗き込んで心配そうに見つめる。「や・・・あの・・・見ないで?」
「どうしてッスか?」
さらに近づいた彼の体温に、昨夜の熱が甦る。
逸らされた視線を自分へ向けるために頬へ添えられた手に、指に、自分がどんな風に愛されたのかが思い出されて、思わず目を閉じてしまう。
身体の中に残っている甘い疼きが胸を締め付けて、ユウナの当初の望みそのままに、夢ではなかったのだと自覚せざるをえない。「な・・・んか、恥ずかしい、から」
頬を赤く染めて彼を見ないようにと固く閉じられた瞳に、最初はわけがわからなかったティーダも、なんとなく彼女の心境を察して小さく苦笑した。
昨夜はあんなに大胆だったのに、今はもうよく知っているいつもの彼女だったから。
そのままその愛らしい唇へ優しく口づけると、ゆっくりとユウナの上唇を舌でなぞり、意地の悪い微笑で甘く囁いた。「自分から誘ったくせに」
「・・・っん!や・・・」
そう。まさにその事実に我が身で混乱しているユウナなのだ。
後悔しているわけではないけれど、昨夜の自分の行動を振り返ると恥ずかしさのあまりどうにかなってしまいそうなのだ。
しかも、『その時』に口をついて出た声は、まるで自分のものとは思えないような甘いもので、そんな姿や声を彼に知られたのだと思えば思うほどに、どんどん恥ずかしくなってくる。
身体に巻きつけたシーツをしっかりと抱え、いまだに固く瞳を閉じているユウナの肩へ、ティーダはぽすんと頭を乗せると、大きくため息をついて告白した。
「あー、もうねえ!こうなるから、ものすっごくガマンしたっつーの」
「・・・えっ?!」
呆れたような、諦めたような、そんな口ぶりの恋人へそっと視線を移す。
肩越しに見える青の瞳は何かと戦っているような空気を漂わせて、恨めしそうにユウナを見つめている。「なのにさ、ユウナが悪いんだからな」
「な、なにがっ?!」
ユウナの必死の問いかけに答える代わりに、ティーダは優しくキスをすると そのままベッドへなだれこむ。
「わかってた?『止まらない』ってこういう意味だったってこと」
「えっ?!あ!!ティーダ、待っ・・・・!」
「恥ずかしいなんて思わなくなるくらい、してもいいッスよね?!」
ユウナの抗議も抵抗も、悪戯っぽい光をたたえた青の瞳には敵うことはなく、この日ティーダがカモメ団の新たな一員として迎えられたのは、昼もだいぶまわってからの事だった。
fin
え〜〜〜〜〜〜っと。(笑)
novel 『First』の直後ですね!初めての朝!!ってやつです!